LED夢酵母について
更新日：2023年3月15日
清酒酵母とは！？
日本酒の味と香りは「清酒酵母」が決め手になっています。
日本酒は、米、水、麹、清酒酵母からできる「もろみ」を約2週間～1カ月発酵させて造られています。発酵中は清酒酵母の働きにより、米と麹から供給される糖分からアルコールができ、同時に日本酒の味や香りに影響を与える様々な成分が造られます。
LED夢酵母の誕生！！
徳島県立工業技術センターは、清酒酵母に、徳島県の地域資源であるLEDを用いて光照射を行い、性質が変化した酵母の中から優良酵母を選抜し、平成27年度にLED夢酵母として実用化しました。
これまでに徳島県内で日本酒造りに使用されているLED夢酵母は5種類
（No.3643、3826-2、4206、12422、13088）あります。
LED夢酵母で仕込んだ日本酒は！？
実用化されている5種類のLED夢酵母は、それぞれ出来上がる日本酒の香りや味わい等に違いがあります。LED夢酵母を使用して造られた日本酒の銘柄は、これまでに100銘柄以上販売されています。一部は徳島県酒造組合のHPで公開されていますので、LED夢酵母で醸造した銘柄の中から是非自分の好みにあった日本酒を見つけてみてください。
LED夢酵母の特徴は！？
●No.3643
LED夢酵母の実用化第一号株
華やかな香りと、酸生成量が少なくスッキリとした味わいの日本酒醸造が可能であり、発酵力が強く日本酒醸造に使いやすい。
華やかな香りを出す酵母によくみられる、発酵力が弱くなるデメリットが低いことから、実用化されると、徳島県内の酒造会社に即座に普及した。
後にさらに発酵力が強くなったNo.4206が実用化され、使用頻度は減少したが、現在でも一部の酒造社では主力商品に使われており、まだまだ現役のレジェンド酵母。
香りのタイプ リンゴ
味のタイプ 酸が少なくスッキリした飲み口
●No.4206
LED夢酵母を代表する株
華やかな香りと、酸生成量が少なくスッキリとした味わいの日本酒醸造が可能であり、No.3643よりさらに発酵力が強い特徴を持つ酵母。
その使いやすさと高い能力から、徳島県内の多くの酒造会社で使用され、この酵母を使って作られた日本酒の銘柄はこれまでで80を超える。
醸造された日本酒はリンゴのようなフルーティで華やかな香りとスッキリとキレのある飲み口で、従来の日本酒が苦手な方や、日本酒初心者の方にも飲んでいただけるような、非常に飲みやすいタイプに仕上がる。
香りのタイプ リンゴ
味のタイプ 酸が少なくスッキリした飲み口
●No.13088
No.4206を改良したカルバミン酸エチル低減酵母
R4年度に実用化開始したLED夢酵母。No.4206のもつ華やかな香りと、酸生成量が少なくスッキリとした味わい等の特徴を残したまま、輸出に対応するため、尿素生産量を低減化し、貯蔵によるカルバミン酸エチル※の生成を抑えた株。
尿素生産量以外はNo.4206とほぼ同じ性質となる。
香りのタイプ リンゴ
味のタイプ 酸が少なくスッキリした飲み口
●No.3826-2（3826 Type2）
華やかな香りと、高いリンゴ酸生産力を持つ個性派酵母
この酵母の元となったNo.3826株は発酵力が強く、できた日本酒はリンゴ酸の酸味が強くなりすぎてしまった。そのため、味のバランスをとるために発酵力をあえて弱くしたNo.3826-2が開発された。発酵力が弱くなったことから、程よく糖分が残り、華やかな香りに、甘味と酸味のバランスがとれた絶妙な味わいの日本酒が醸造可能となった。
香りのタイプ リンゴ
味のタイプ リンゴ酸のスッキリした酸味と適度な甘味がバランスよくマッチした飲み口
●No.12422
香り穏やかな食中酒タイプ
R4年度に実用化開始したLED夢酵母。フルーティで華やかな香りの成分であるカプロン酸エチルはあまり生産せず、バナナ系の香りの成分である酢酸イソアミルを適度に生産する。酸生産量は少なく、軽快で、口当たりの柔らかい飲みやすい日本酒が仕上がる。作り手の工夫により甘口～辛口まで様々な味わいの日本酒が醸造可能。醸造された日本酒は、落ち着いた香りで、様々な食事に合わせやすく食中酒として最適。
尿素をほとんど生産しないため、貯蔵によるカルバミン酸エチル※の生成を抑えることが可能で輸出にも向く。
※清酒貯蔵中に尿素とアルコールが反応してできる物質で、一部の国で規制の対象となっているため、輸出時には注意が必要となる。
香りのタイプ バナナ
味のタイプ 軽快で柔らかい飲み口
LED夢酵母の今後は！？
21世紀の光源であるLEDと古来より受け継がれてきた伝統の清酒酵母という異色の組み合わせから誕生したLED夢酵母ですが、今後さらに種類を増やし、積極的に普及を進め、徳島県の新たなブランドとして定着させたいと思っています。
お問合せ先
食品・応用生物担当 岡久
TEL 088-635-7909 FAX 088-669-4755